昨年秋に都中建が行った要望事項について、各党から次のような回答がありました。
(要望事項)

平成14年度東京都予算等に対する要望事項

社団法人東京都中小建設業協会

一 公共事業費の確保について

東京都財政が厳しいことは十分承知しております。更に公共事業の休止や見直しの世論が強いのも事実であります。しかし、それら見直し論は投資効率の良くない地域の公共事業であって、都市部の整備、再開発には当たらない論だと思います。東京都にとっては都市再生は急務であります。なかんずく都民生活に直接結びつく公共事業で、保育、学校、上下水道、道路、公園、河川、防災等の事業は、緊急に整備すべき事業と考えます。これらにつきましては優先的に事業費を確保されますよう要望いたします。
ゼロ都債を増額し、来年度予算の早期発注をお願いいたします。

二 中小建設業者の受注機会の確保等について

東京都は昨年8月から、公共工事費のコストを縮減するため、発注ロットの拡大を発表されました。当協会としては引き続き分離分割発注を希望する、若しコスト縮減が目的ならばその分の工事予定価格の引き下げも甘受すると東京都に要望しました。中小建設業者の苦渋の選択をご理解いただきますようお願いし、分離分割発注を継続されますよう要望いたします。
東京都は行政効率化の観点から全ての事業について見直しが行われております。
民間での対応がより効率的と考えられる事業、例えば都道維持補修(巡回点検)等につきましては積極的に民間委託方式を採用されますよう要望いたします。
外郭団体の発注標準金額について、住宅局所管のスーパーリフォーム事業が住宅供給公社に移管されることに伴い、従来から中小建設業者の施工範囲であった分野まで大手業者が参入可能となりました。中小業者の受注確保のため、外郭団体等の発注標準金額を統一的に運用されますよう要望いたします。
東京都の運用する共同企業体は大手企業を中心として、中堅、中小を配するものでありますが、工事の難易度の高くない工事案件につきましては中小同士のJV(建築)や異業種JV(建築・土木)もお認め下さいますよう要望いたします。

三 都市再生プロジェクトについて

政府は、都市の再生を図るために都市再生本部を設置し、具体的プロジェクトを発表しております。東京都もこれと共同し、東京の再構築を実施しようとしております。長年の懸案も漸く動き始めるのかと大きな期待をしております。
ところが発表されるプロジェクトの多くは環状道路とか空港整備が中心であります。勿論これら事業の緊急性は理解いたしますが、これでは中小建設業者の活躍の場はありません。周辺整備や取付道路等も同時に実施されますよう要望いたします。

四 工事代金の債権譲渡について

政府は、中小建設業を金融面から支援する方途として、また、下請負人保護のためにセーフティネット事業を発足させました。制度は次第に拡がりを見せつつあります。
この制度を利用するには発注者に工事代金の「債権譲渡」を承認して頂く必要があります。国や他団体の多くも既に認めておりますので、東京都においてもお認めいただき、下請負セーフティネット事業が利用できますよう要望いたします。

○東京都議会自民党からの回答

道路整備はじめとする公共事業の予算については、事業の緊急性や公共性を考慮しつつ、投資効果の高い事業に、限られた財源を重点的・効率的に配分することにより適切に対応していきます。
また、ゼロ都債については、平成12年度補正予算でも活用したところであり、今後とも適切に対応していきます。
東京都はこれまでも、公共事業における中小企業者の受注機会確保のため、建築工事、電気工事などのように工事の種類ごとに中小設備事業者および専門事業者が主体的に受注できるように分離・分割発注し、また、適切な工事規模に分割し、可能な限り中小企業者が受注できるよう推進に努めてきているところであります。
このような中小企業の受注確保施策を、従来どおり基本に置きながら、コスト縮減の要請を入れ込んだものであります。今後とも、適切な発注ロットの設定に努めていきたいと考えています。
(以上 財務局)
都道維持補修等について民間委託方式の採用
平成11年度から、都道の維持補修業務のうち、これまで直営で実施してきた工法的に容易な工事や小規模な工事は、原則として区部の建設事務所から段階的に民間委託を実施してきています。
(建設局)
発注標準金額の設定につきましては、過去の発注実績等により、受注者となる企業の数や履行性能力を総合的に考慮のうえ設定しております。
その改正にあたっては、設計単価や労務単価などの物価上昇や関係法令の改正等を踏まえながら、適時・適切に行ってきたところであります。
今後も必要に応じ、その都度検討のうえ適切に対処してまいりたい。
なお、東京都の契約制度は、東京都の組織における統一的な運営のために設けた制度です。外郭団体等は、この制度による拘束を受けないことをお知らせします。
比較的規模の大きい建設工事につきましては、中小同士のJV結成を従来から採用してきておりますが、より一層中小企業の受注機会の拡大を図るため、平成7年度より、9億円未満の建設工事につきましては、従来2者構成であったJVを、希望の状況により運用で3者構成のJVにするなど、柔軟な対応を行ってきているところであります。
異業種JVの可能性の検討も含め、今後は、更なるJV制度の活用を推進していく所存です。
(以上 財務局)
都市再生プロジェクトについて
現在、東京都では、都市の骨格を形成する道路整備を行うとともに、東京の道路ネットワークを形成するため、骨格幹線道路を保管し、地域生活を支える基幹的な道路整備を合わせて行っています。
また、山間・島しょ地域においても地域の生活、産業・経済、文化活動等の基盤となる道路整備事業を行っているところです。
今後ともこのような、広域幹線の周辺道路や取付道路の整備に努めてまいります。
(建設局)
東京都におきましては、公共工事の資材調達の資金需要に対応するため、平成11年11月から中間前払いの制度を導入しているところであり、部分前払いの制度と合わせて資金の手当ての措置を行ってきているところであります。
今後は、以上の制度と下請セーフティネット債務保証制度とをよく検討比較を行いまして、適切な対応を図っていきたいと考えております。
(財務局)

○都議会公明党からの回答
財務局所管

一 公共事業費の確保について

公共事業の予算については、

二 中小建設業者の受注機会の確保等について

「分離分割発注を継続願いたい」
発注ロットの設定に当たっては、施工効率上、コスト上の観点から合理性に反するような分離・分割は見直していくが、「中小企業の受注機会の確保」には引き続き配慮している。
「外郭団体の発注標準金額を統一的に運用願いたい。」について
外郭団体の契約制度は、それぞれの団体の契約実態等の事情に応じて、団体それぞれが設定するものである。
「発注標準金額」の設定、運用に当たって、外郭団体から情報提供等の要請があった場合には、積極的に対応してまいりたい。
「工事の難易度の高くないものは、中小同士のJVや異業種JVも認めていただきたい。」について
比較的規模の大きい建設工事については、中小同士のJV結成を従来から採用してきているが、より一層中小企業の受注機会の拡大を図るため、平成7年度より、9億円未満の建設工事については、従来2者構成であったJVを、希望の状況により運用で3者構成のJVにするなど、柔軟に対応している。今後ともJV制度の活用を図っていきたい。

三 工事代金の債権譲渡について

「東京都においても、セーフティネットの制度が利用できるように認めていただきたい。」について
「下請セーフティネット債務保証制度」については、債権譲渡の受け皿となる団体側の問題もあり、制度化が進んでいないのが実態である。
建設局所管

二一(2)について

民間での対応がより効率的と考えられる事業、例えば都道維持補修(巡回点検)等については、積極的に民間委託方式を採用するよう要望します。

<回答>
平成11年度から、都道や維持補修業務のうち、これまで直営で実施してきた工法的に容易な工事や小規模な工事は、原則として区部の建設事務所から段階的に民間委託を実施してきています。
平成14年度は区部のすべての建設事務所について民間委託を完了し、多摩部の建設事務所についても一部民間委託を実施します。

三について

都市再生プロジェクトの実施にあたり、周辺整備や取付道路等も同時に実施するよう要望します。

<回答>
現在、 東京都では、都市の骨格を形成する道路整備を行うとともに、東京の道路ネットワークを形成するため、骨格幹線道路を保管し、地域生活を支える基幹的な道路整備を合わせて行っています。
また、山間・島しょ地域においても地域の生活、産業・経済、文化活動等の基盤となる道路整備事業を行っているところです。
今後ともこのような、広域幹線の周辺道路や取付道路の整備に努めてまいります。

○日本共産党東京都議会議員団からは「都民のくらし・福祉優先の都政を(2002年度東京都予算編成に関する要望書)」という形式で76ページに亘る冊子を戴いております。