景気に多少明るさが見え始めたと云われる昨今であるが、中小建設業にはその兆しはなく厳しい状況が続いている。建設投資は99年以降連続の減少であり、今 後も回復の見こみはないと云われている。建設業は完全に供給過剰産業となり、年間5,000~6,000件以上の企業が倒産している。その大部分は中小建 設業者である。このような状況から建設業の再生は重要な政策課題となっている。
このような背景の中で東京都の中小建設業界では、少ない公共発注案件を巡って、激しい価格競争が行われている。東京都の場合、予定価格が事前に公表され、 更に最低制限価格の設定方法も公開されているため、最低制限価格の推測も容易である。そのため、ローワリミットラインに入札価格が集中し、くじ引きによる 落札が多発している。その数は財務局契約で14年度24.8%と発表され、ますます増加傾向にある。そのうちの多くは中小建設業向けの案件なのである。
このような過当競争が長く続けば、企業体質は疲弊し、品質の確保にも問題が生ずることになる。税金によって作られる公共施設、何よりも優先すべきは品質確 保でなければならない。緊急対応として東京都の入札制度に今一度検討を加えることが必要であり、都中建は機会ある毎に当局あてに要望している。