都中建は先日アピールを出して適正な価格での競争と業界に新しい秩序をと呼びかけました(アピールの項参照)。大変大きな反響がありました。大賛成 ですという意見や、その背景や真意についての質問が寄せられております。皆さん悩みは共通なのだと感じた次第です。問題はこのアピールの内容をどう実現す るかであります。前段の適正価格での競争についてですが、一つの案としては、最低制限価格の引上げということが考えられます。そうすれば、ダンピングとい うことは少なくなると思いますが、競争性を無くすという批判が出てくるでしよう。競争性を保持しながら、ダンピングでない入札方法、皆さんも知恵を出して 下さい。

二つ目の「業界新秩序の確立を」という話は、今やグローバルスタンダードという魔物が跋扈して、何でも競争、競争、競争さえすれば値段は安くなる。競争こそ正義という風潮があります。果たしてそうでしようか。

資本主義の原理で完全に自由な競争のみが行われるとすれば、中小建設業などは一たまりもありません。みんな強者 に食われてしまいます。近時官公需法は中小を保護し過ぎたとか、子会社による中小分野への進出とか、中小は下請に徹し、元請は三分の一でいいとか、中小建 設業に対する挑戦は目に余るものがあるではありませんか。

地場産業として営々と築き上げてきた信用と実績、それがそんなにも簡単に否定されていいものでしようか。力強く地場産業として生き、日本経済を支え、お互いの立場を認め合いながら競争する「和の競争世界」、それが日本的スタンダードではないでしようか。

私は、競争そのものを否定するものではありません。技術を磨き、生産性を高める必要は十分認識をしております。 しかし中小建設業がそれを成し遂げるには今少し時間が必要です。助走期間が必要です。そしてその先にある「中小建設業の新秩序」、未だその姿は朧げです。 皆さんと共に考え、共に築いてまいりましよう。

平成14年10月
社団法人 東京都中小建設業協会
会 長  吉 田 建 三