都中建は9月10日、現下の業界の過当競争に対し、「このままでは正当な競争と言えず、中小建設業の自殺行為となりかねない、適正な競争を望む」と強く訴えた。
全文次のとおり。
適正価格による競争と業界新秩序の確立を
-都中建は訴える-
建設投資額は年々縮小の傾向にあり、将来ともに回復の期待はもてません。そのような中で建設業者の数は微減程度で業界は完全に供給過剰であります。
従って、少ない公共事業の発注をめぐって中小の分野では考えられないような過当競争が出現しております。このような 消耗戦を続けていけば建設業者は近々総崩れになりかねません。単品現地生産の建設業では適正価格での競争が維持されなければなりません。採算無視競争の対 策の一つとして、発注者に最低制限価格の引上げを要望することも考えております。
市場主義という考え方が強調され、官公需法に対する批判が強まり、ランクの見直しを求める声も聞こえてまいります。 これら中小建設業を守る制度は絶対に守られなければなりません。若し、弱肉強食、勝者の総取りが許されるならば、日本の社会は崩壊します。何らのルールな しに強い者が勝つ、それはジャングルの世界であります。いずれ競争の時代に進むとしても、日本型の市場主義が求められます。それまでの間、中小建設業には 準備期間、助走の期間が必要であります。
行政は公共工事の入札及び契約の適正化を図るためガイドラインによって様々な指導を行っております。これによって地方自治体も制度改正に乗り出しました。東京都も新発注方式(技術要件発注方式、性能要件発注方式)等の導入や契約後VEなどを取り入れようとしております。
制度の改善は業界の実態を十分考慮した日本の風土に適合したものでなくてはなりません。また、それがあまりに急激であってはなりません。事前公表制や指名業者数にも種々議論が出始めております。
このような変化の時代には中小建設業はしっかり勉強し、団結し、自らの意見を発信し、自らの立場を守っていかなくてはなりません。
しかし、1社1社では何ら意見も出せませんし、また、力にもなり得ません。都内中小建設業の皆さん、声を都中建に寄せて下さい。都中建はその声をもとに中小建設業のために全力をあげて行動します。
今こそ都中建の初心に立ち返り、都内中小建設業の声をバックに業界の新秩序を確立する時と考えます。技術と経営に優れた企業が生き残る道を本気で探しましよう。
中小建設業が遭遇したこの空前絶後の難局を中小自らの努力と工夫で乗り切るために、都中建は中核となりお互いを繋ぐザイルの役を務めます。
都中建運動にご支援を頂けませんでしようか、共通の利害を持つ各社の決起と発言を心から期待いたします。
平成14年9月10日
社団法人東京都中小建設業協会
会 長 吉 田 建 三