社団法人東京都中小建設業協会

会 長 吉 田 建 三

都中建は9月29日、自民党都連に、10月8日、都議会公明党、東京都議会自由民主党、都議会民主党に、10月14日、日本共産党東京都議会議員団に対 し、平成16年度予算に対する要望を行うと同時に、出席議員との懇談を行った。それぞれの立場から厳しい質問も飛んできたし、こちらの側も生の声で実態を 訴えた。

主題は予算に対する要望であるが、これだけ国家財政並びに東京都財政が厳しくては公共投資の増額を望んでも実現の可能性は少ない。そこで切り口を代えて次のように要望せざるを得なかった。

〇 国民生活に直結する有効な公共事業の確保
〇 しかし、これだけでは建設業全体が生きていくのは難しい。建設業は
正に供給過剰である。
〇 供給過剰の解消には、新分野への進出と業者数の整理しか道はない。
このような前提に立って話し合いをした。先生方も認識は共通であった。

問題は新分野に進出するにしても多くの資金を必要とするし、各種の規制が多過ぎる。融資の制度や規制緩和がなければ、道は狭い。そこを何とかして欲しい。

供給過剰体制の整理については、中小建設業各社は会社に対し、経営者の個人保証の実態がある。会社を閉じようとしても、銀行に対する借金は個人が負担しなければならない。

かって日米繊維交渉の際、日本の繊維生産を制限するため、政府は業者の機械を買い上げたことがある。また、蜜柑農家が増え、蜜柑が供給過剰になった時、政 府は再び植えないという条件で蜜柑の木を買い上げ、伐採をしたことがある。このような政策の再現ができるかどうか分からないが、何らかの政治的手法が必要 なのではないかというのが我々の主張である。現状の解決を「市場に任せる」というのでは余りにも非情な政治ではないかと言いたい。

別に人に頼りたいというのではない。一社一社の自己責任、自助努力だけでは解決できない問題なのだ。建設産業を大転換させるために叡智を絞って対応していかなければならない。暖かい政治を期待したいというのが、今年の要望活動であった。