本日、1月29日、東京都財務局と意見交換会をさせていただきました。
都中建の要望は下記のとおりです。

                                               平成30年1月29日
東京都財務局 
   経理部長 殿

                                       一般社団法人東京都中小建設業協会
                                       会 長  山 口  巖

              東京都財務局との意見交換会 提案要望

 中小企業基本法の分類では、建設業も資本金3億円、従業員300人以下を中小ということになっております。我々の実感としてはこの規模は中小の域を超え、中堅、大手の会社という感覚です。地域に密着し、地域に尽くす建設業者が中心の我々の協会員は、資本金2,000~3,000万円、従業員20~30人程度が中心的な組織です。そのため、今回の検証データにおける中小建設業の扱いには大きな違和感を感じます。
このような立場から、以下それぞれ要望を申し上げさせていただきますので、よろしくお願いいたします。

1. 1.事後公表について

都中建としては、事前公表に戻していただきたい。

理由
① 平成29年7月財務局による入札契約制度説明会では、積算内訳書の他、代価表等を添付すと言っていましたがV代価表は、添付されてい
るが、S代価は添付されていな、S代価を、事細かに積算するのは、積算システムを構築しないと出来ません。又一式計上は、無くなったが、代価表が添付されていない、工事の質問も一方通行で、(一度しかできない)回答は、あいまいな返答や、的を得ていない回答の事が多い。
② 事前公表のときは、積算でなく実行予算を作成して、入札価格を決めていたが、現在の工事発注規模予定価格帯では、価格の幅が広すぎ
る為、官の積算にあった積算と、実行予算と両建ての積算をしています。大手企業は積算システムの構築と積算部門の体制がしっかりしていますが、地場中小企業は、社長又は工事担当者が行う事が多く、土日祝日又は、夜間にこの業務を行っています。したがって過重労働となり、このことは政府が言っている働き方改革に逆行しているのではないでしょうか。
③ 平成29年11月の検証データで予定価格の事後公表のサンプリングから応札者の比率表で落札範囲内が41.4%に対して最低未満・超過が
58.6%と約6割を占めています。この結果から想定すると、積算資料の乏しさと、正確に官の積算が出来ない結果です。
④ 私たち都中建は数年前までは、事後公表にして下さいと要望していました。なぜなら当時は総合評価でない、価格だけの入札で積算もしないで入札をする業者がいたためです。
しかしながら、ここ数年は、総合評価方式による入札が7割近くになってきたので、事前公表でないと総合評価方式による入札の意味がありません。

上記の様な事から都中建としては、WTO案件以下は、事前公表にしていただきたい。

2.1者入札の中止について

 現行の『1者入札中止』は法律の要請を超えた厳格な運用であり、そのために発生する改札日のずれにより、全業種平均で23.2日(5.75%)工期のダンピングが発生している。これは国を挙げて推し進める「働き方改革」と真逆の流れであり、競争相手の有無は入札者の知るところでもありません。法律の定めに則り、認められる範囲の1者入札まで中止対象としないように強く要望いたします。

3. JV結成義務の撤廃について

 JV結成義務の廃止により、中小事業者の入札参加機会が増え、受注割合が増加しているという評価が一部から出ていますが、中小企業基本法を隠れ蓑に、大手ゼネコンの連結子会社や東京支店も無い地方ゼネコン、元大手ゼネコンであった民事再生企業の受注に対し、あたかも中小の代表として取り扱うのは、中小企業への配慮を多くの団体が要望している中で、対象がずれているのではないでしょうか。
都内中小建設業者は、今まで発注者と連携して東京の除雪作業や緊急施工または道路啓開協定に基づき、地域の安心・安全の担い手として活動してきた自負がありますが、経営の面では非常に脆弱であり、職員の高齢化・人手不足などの課題を解消できず悩んでいる中で、大手ゼネコンとのJV結成は職員の技術力を高め、ノウハウを学び、人脈を広げる絶好の機会であり、JVを通じて金額には換算できない利益を中小企業へ分配してくれていました。
また地元の地図に残るような大きな仕事に参加できることは中小の職員にとっては、誉れでもありましたが、今回の制度改革によりそのチャンスは激減しました。 
東京の将来を見据えたインフラ計画も地域防災計画も、実際に担うのは人間であります。経営に直結するような大きな制度を改革するのであれば、実際にその現場で働く人の声を吸い上げてから実施していただきたい。
都発注工事において最も多くの事業を、地域に密着して行っている我々都内中小建設業者としては、JV編成義務の撤廃は全く評価できず、撤回を要望します。

4. 低入札価格の調査制度の適用範囲の拡大について

 調査基準価格算定においては、ダンピング防止の観点から上限を撤廃し、現状の算定式にて設定していただきたい。
調査内容においては引き続き厳格に対応し、不良不適格業者が価格のみの競争によって受注することを防止していただきたいですが、受発注者双方の事務量増加を勘案すると、最低制限価格を復活しても差し支えないと思われます。

5. その他

・発注の平準化に力を入れ、より一層推進していただけるようお願いいたします。

・建設業における労働災害の発生状況は、長期的には減少傾向にあります。しかし、今なお、年間300名近くの人が尊い命を落として
います。また、近年の温暖化の影響で毎年夏。熱中症対策におわれています。労働災害の防止のためには、適切な労働災害防止対策を
講じる必要があります。大切な社員や下請け事業者の健康や安全を守るため、是非「安全衛生経費」の確保をお願いいたします。